僕は、クブシミ(以下コブシメのこと)があんまり好きではないので、狙って釣る事はほとんどありません。
見た目があんまり好きじゃないということもありますが、
初心者のときにアオリが釣りたいのにクブシミばっかり釣れたことがトラウマになっているからです。
食べるぶんには全然問題なく美味しく頂けますが。
みなさんはエギングでクブシミが釣れるか、
アオリが釣れるかは選べないと思っていませんか?
これはある程度は、ちゃんと釣り分けることが可能なんです。
というか、
それをやることで、もっとアオリが釣れるようになるんです。
クブシミという烏賊は体の構造的に見ても、アオリ烏賊よりも遊泳能力が優れていません。
なので、アオリ烏賊ほど深場と浅場を行ったり来たりすることはありません。
沖縄の場合はどうだか分かりませんが、本土の甲烏賊には砂に潜る習性のあるものも居るそうです。
以前グラスボートで海底を観察することがあったのですが、
クブシミの姿は結構大きいサイズまで見ることが出来ましたが、アオリは皆無でした。
グラスボートの船長も昼クブシミはよく見るけど、アオリは殆ど見ることが無い、と言ってました。
遊泳能力が優れていないので、わざわざ遠い距離を回遊して餌を獲りに行くことが無く、
アオリよりも比較的岸よりで底付近の甲殻類などを中心に餌を獲っているようです。
もちろん魚も食べるでしょうが。
比較的浅場でもクブシミが底付近でジッとしているのは釣りの最中でもよく見かける光景です。
クブシミは
10キロオーバーとかにまで成長するので
浅場で釣れることが多い2、3キロクラスなどは、
所詮まだ子供だからということも関係しているとは思います。
現に皆さんご存知の某沖堤防ではモンスタークブシミがよく揚がってますもんね。
で、話を戻すと、
この生態の違いがクブシミとアオリを釣り分ける際の大きなヒントになります。
つまり、クブシミはエギを底付近でネチネチ、あるいはロングステイしていれば勝手に乗ってくることが多く、
ほとんど釣るのに技術は要りません。
というか、これがクブシミを釣るのに最善な技術と言えば技術になります。
タコ釣りと殆ど同じ要領ですね。
皆さんも経験ないですか?
エギを着底させて、一息入れてシャクったらクブシミやタコが乗ってた、って経験。
(中層でクブシミが喰ってくるときもありますが、これは後に書きます。)
僕の初心者のときは、まさにこれが多かったんです。
ラインメンディングの技術も未熟でしたし、当たりも分からなかった...。
でもクブシミだけは釣れる...ってことが。
初心者の頃はとにかく、
「エギを着底させること、デカい烏賊は底を攻める。」
という初心者向けのエギングの本に書かれているようなことを鵜呑みにしすぎていたんです。
ちなみに、これは必ずしも沖縄においては当てはまらないことも多いです。
根の荒い場所が多く、
着底=即根掛かり、
新品のエギを一投目で無くすと言う事も珍しくはありません。
もちろんちゃんと底が取れるところは取った方が良いです。
でも、底が取れない場所では、無理に底を取る必要はありません。
むしろ
アオリを釣る際にエギを底に数十秒とかロングステイさせるほど、無駄な事はありません。
なぜなら
アオリ烏賊は元々動かないものには興味を示さないからです。
これは生育下での実験でも明らかにされています。
そもそもエギは餌じゃないですから、動かしてなんぼなんです。
このことから、僕は底が取れるポイントでも、着底させるのは一瞬で、
絶えず底を取ったらすぐにエギを動かすようにしています。
前当たりが底近くで出た場合は、着底させてネチッこく動かして抱かせることもありますが、
基本的に投げている時間の殆どは、群れが居ない限り烏賊は居ないわけですから、
ロングステイしている間に、烏賊が興味を示さず素通りしてしまう可能性がある、
と言う事も考えなくてはなりません。
で、話を戻して、そもそもどうしてクブシミとアオリを釣り分ける必要があるのかというと、
アオリ烏賊はクブシミより長い距離回遊して餌を獲りに来る(それなりのサイズ)際、
ほぼ例外なく上げ潮に乗って浅場に回遊し、下げ潮に乗って深場へと帰って行きます。
つまり、潮が流れる場所ほどデカいアオリが釣れる確立も高くなるんです。
潮の流れが早いときに、流れの中で釣れる烏賊は、
間違いなく深場と浅場を回遊しているそれなりのサイズといえますし、
深場に落ちることができる烏賊というのは、ある程度外敵から襲われないくらいのサイズだと言えます。
潮の流れがハッキリあると言うことは、烏賊の通り道であるということも考えることが出来ます。
実際に例を挙げれば、沖縄中部屈指のポイント、〇〇島突堤なんかは判りやすいと思います。
日本有数のデカイカの聖地種子島の沖防波堤なんかは動画で釣りをしているのを見ますが、
かなりのディープ&激流ですよね!?
昨シーズン
4.96キロを釣った
与論島のaruterさんのホームもディープ&激流なポイントです。
ちなみにaruterさんの使用する平均エギサイズは
4.5号です
反対に、潮が早いとクブシミは遊泳能力が無く、体が重く水の抵抗も大きいぶん、
餌を獲ることが難しいですし、流れの速いところでは底も取り辛いし、
居たとしてもよほど重いエギでロングステイさせない限り、
クブシミは釣れないと思います。(逆にモンスタークブシミ狙いならアリだと思います)
ここで、さっき少し触れた
「クブシミが中層で喰って来るという状況」です。
このとき、みなさんは何を考えますか?
この状況は
極めて重要な判断材料になります。
さっき、潮の流れの速いところではクブシミは殆ど釣れないと言うことを書きましたよね!?
てことは、この状況は
潮が止まりかけている、潮が緩い、ってことを意味します。
同じ潮止まりでも、概してこの中層でクブシミが喰ってくる状況は、干潮潮止まりに近いです。
その方がクブシミは餌が獲りやすいですから。
干潮潮止まり、これはアオリ烏賊を岸から釣る状況としては最悪です。
なんでか?
さっきアオリ烏賊は上げ潮で深場から浅場にやってきて、下げ潮で深場に帰って行くと書きましたよね。
沖縄の場合、ど干潮でも水深のある場所ならまだ良いとしても、殆どが遠浅の海岸です。
水深がある場所もその周辺はほとんど遠浅です。
なので、他の地域より特にこのことが大事なんです。
逆に言えば
ちゃんと回遊のタイミングを図って釣りをすれば、
釣れる確立はかなり高くなると言うことです。
高いタックルを揃えている人の中にも、
未だにこの事をちゃんと理解していない(意識していない)エギンガーは多いです。
残念ながら、ど干潮の遠浅の海岸には、
アオリ烏賊は殆ど深場にお帰りになっており、
いくら投げても居ない状況が大半です(何度も言いますが、それなりのサイズですよ)。
大潮などの潮が大きく動くタイミングなら、回遊数自体が多いので、まだ可能性はありますが...、
長潮のど干潮で、遠浅の海岸で投げるなんて行為は...僕なら絶対やりませんけどね。
どうしてもやるなら限りなくディープエリアもしくはディープに隣接しているポイントや、
明るい光源のあるベイトが集まる場所ですかね。
この状況でキロ後半以上が釣れる場所なら、間違いなくそのポイントはS級ポイントだと断言できます。
僕は
沖縄でのエギングは甘くは無いと思います。
ポイントの取り合いは、市街地に近いところや有名ポイントを除けば、
本土に比べればまだましだとは思いますが、
海岸が遠浅であるというデメリットは、回遊数の面でもサイズでも本当に大きいです
タイミングを合わせて釣りをするということが如何に重要か...。
エギングファイル6を見た方ならお分かりでしょうが、
キングオブエギンガーと言われる人でも、何となしに昼間実績のあるポイントを周ったからといって、
簡単にデカイカが釣れるほど甘くはありません。
上手い下手以前に居る場所に投げなければ永遠に釣れる事はないのですから。
ちょっと話は膨らみましたが、クブシミを意図的に避けて釣りをするということが、
如何に重要か、アオリを釣るヒントになるかということがご理解いただけたでしょうか?
当然クブシミを狙って釣るぶんには何の問題も無いですし、
それ自体を批判するものではありませんので誤解のないように。
まだ納得いかないと言う方の為に例をあげますと、
自分の仲間の曳き釣り師は
毎年3キロアップを含む数十キロのアオリ烏賊を釣り上げていますが、
(ダービーに出れば間違いなく総重量で優勝するんですけどね)、
未だにクブシミを一度も釣ったことが無いらしいです。
曳き師は底を取らないと言う事もありますが、
そのポイントでは釣りたくても釣れない場所なんです(笑)
前回の考察記事で太刀魚との共通性を書きましたが、
烏賊もタイミングさえ合わせれば、
サイズを問わないなら太刀魚を釣るのと難易度は殆ど同じと思います。
太刀魚が何故簡単に釣れるかというと(サイズに拘ると結構難しいけど)、
居る場所がハッキリ分かるから、その一点だと思います。
烏賊くらい回遊していれば太刀魚ももっと釣り辛いターゲットかもしれません
今回も長くなってしまいました...読み疲れた方すいません。
でも内容はそれなりのものを書いたつもりですし、ちゃんと理解してくださった方は、
間違いなく冬以降、回遊数が減っても撃沈率を下げることに役立つであろうと自負しています。
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もしかしたらもっと踏み込んだ内容を書くかも
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